Murakami Ken - Photographer

渋谷駅前の喧騒をぬけ、たどり着いたのは、眼前 に代々木公園が見える公園通りの突端でした。 ほぼシルエットに近い人々が、思い思いに交錯しては離れていきました。 季節がお盆にさしかかる頃です。

小学生の頃、夏休みの大半を京都にある母方の祖母の家で過ごしました。今は亡き祖母と鉄道に架かる陸橋から眺めたのは、五山送り火。手を合わせ、目を閉じた祖母。にじみでた涙には、祖母の人生の一片が映りこんでいました。
火の勢いも次第に衰え、来た道を祖母と引き返します。足元をけたたましく走り去る貨物列車の轟音が、胸に響いた事を思い出します。

完全にシルエットになった人々に紛れるよう、私は歩き出しました。
視線の先に、赤々と燃える夕日が沈んでいきました。

朝日新聞デジタル

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