Murakami Ken - Photographer

この回で、朝日新聞紙面での連載は最終回となりました。
この連載で初めて写真に文章をつけるという作業を行いました。
少し、写真に血が通った様な気がしました。

月明かりで輪郭づけられた揺らぐ波に目を奪われていると、いつの間にか海は凪に変わりました。2012年11月、雲ひとつ無い秋晴れの日に生まれた娘に、平穏な人生を送ってほしいとの思いを込め、私は凪と名付けました。

しかし、幼い娘にも、病や困難は降りかかりました。何も出来ない私をよそに、娘は自らの力でそれを乗り越えていきました。
そこから見えたのは、娘の生き延びるために見せる強さと、無力さを嘆くしかできない私の弱さでした。

親となり5年が過ぎ、今思うのは、強くあり続けてほしいということ、強くありたいということです。

次第に東の空は白み始め、呼応するかのようにゆっくりと海は動きだしました。新しい1日が始まろうとしています。

朝日新聞デジタル

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